2つのケース
ー不安を抱えるシオリと虚しさを抱えるリカー
彼女は泣くまいとぐっと歯を食いしばりながら、「私は決して良い子ではありませんでした。たくさん悪さをして、両親を困らせてきました。本当に手に負えない子どもだったと思います。」と。今までのストーリーを聞くも、「私は小さい頃のこととか、あまり覚えていない。」と言った。そして、段々イライラしながら、「なんでそんなことまで聞かれなくてはいけないのですか?私は、今、不安に襲われるのをなんとかするために来たのに。子ども時代の話なんて関係ないじゃないですか!すべて過去のことなんだから!」と怒りを表現しました。
彼女の母親は、情緒的に混乱したときには、彼女を叩いていました。さらに、彼女の自尊心を傷つけるような言葉で日常的に非難していました。
私には、弟と妹がいます。父は普通の会社員でしたが、仕事が忙しかったのかあまり家にいた記憶がありません。母親は優しい人でしたが、心の問題を抱えていたため、長い間入院していましたし、家に戻ってからも、よく寝込んでいました。ですから、家事や弟や妹の面倒はよくやっていたように思います。振り返っても、そんなに問題のある家庭ではなく一般的だったと思います。でも、昔のことはあまり思い出せないのです。
記憶にフタをする
機能不全家族には、家族の秘密があります。
子どもたちは家の中の問題(虐待とかネグレクトなど)を、
外の人たちに秘密にします。
そして、
しばしば家族間であっても秘密にしようとします。
機能不全家族の人々は、
お互いを助け合うために結束しようとしません。
この「秘密」は
子どもにとってはとても恐ろしいことなので、
家族間でその「秘密」について
発せられることはありませんし、
話し合いももちろん行われません。
そして機能不全家族の子どもたちは、
この恐ろしい「秘密」を守るために、
これらの記憶を封じ込めて思い出さないようにして、
無意識的に自分を守ります。
見捨てられ不安
目に見える機能不全家族の子どもたちは、
常に緊張しています。
子どもたちは、皆、
多少なりとも状況をコントロールして、
事態がもっと悪い方向に向かわないように必死に努力しています。
機能不全家族の子どもたちは、
家族の状況を極端なまでに、
他人に対しても、
またしばしば家族内においても、
または自分自身に対しても、
否認してしまうのは、
根本は、
見捨てられ不安
があるからです。
大人になっても
この見捨てられ不安が持ち越されます。
さらに、
この見捨てられ不安は、
原家族のことを打ち明けることを難しくしますし、
それを抱えたままでいる間は、
人生が苦痛に満ちたものになります。

一日たった1分 簡単セルフセラピー
まず大切なのは、
自分の家族の秘密を意識的に自分自身が知ることです。
意識的には、
思い出せないからなんてことないと
思っているかもしれませんが、
あなたの無意識はあなたを守るために、
記憶を封じ込めました。
本当に優秀です。
「両親に見捨てられたら生きていけないかもしれない…」
それは子どもにとっては脅威です。
ですから怖いのは当たり前のことなのです。
ただ、
大人になった今、
両親がいなくても生存できるわけです。
ですから、
無意識にある過去の怖さを
そろそろ解放してあげてもいいと思うのです。
それによって、一時的に、
沢山の涙を流すことになるかもしれません。
爆発的な怒りが出てきて自分でもびっくりするかもしれません。
でも、
よくわからない不安が湧き上がってきて
どうしようもなくなったり、
虚しさで
胸が押しつぶされそうになるようなことは、
どんどん減っていくでしょう。
心のレシピ
◉一日たった1分 簡単セルフセラピー◉
どうやってやるの?: |
小さい頃の自分を想像して、 「怖かったね。頑張ったね。もう大丈夫だよ。」 5回~7回くらい繰り返す。 ※声掛けは多いほど良い |
いつやるの?: |
いつでもOK! |
どこでやるの?: |
どこでもOK! |
どのくらいやるの?: |
自分の家族の秘密を意識的に自分自身が知ることができるまで。 |