機能不全家族の中で育った私たち:心の旅路、涙のちから、そして癒し

涙の役割とストレス解放
感情は私たちを浄化する自然の力であり、ストレスを解消する助けとなります。自分がストレスを感じていると自覚していなくても、映画や動画を見て涙が出ることで、心が軽くなる瞬間を感じたことはありませんか?また、何となくイライラし、周囲に八つ当たりしている時に、誰かの言葉や態度で涙が流れると、怒りが消えていくことを経験したことはありませんか?涙は、私たちの心のバランスを取り戻すための自然な反応です。
長年のストレス蓄積の結果
長い間、ストレスや感情を解放しないままにしていると、これらが内部で蓄積され続けます。そして、この蓄積された感情がどのような影響をもたらすのか、以下に3つの典型的なパターンをご紹介します。
1. 爆発
長く抑えてきた感情が、後に「怒り」や「コントロール不能な感情」「ヒステリックな反応」として突如表れることがあります。これには自分も驚くことが多いです。
2. 内破
このパターンでは、感情が「憂鬱」「疎外感」「孤独感」として現れます。薬物の使用や過食、過労など、感情を麻痺させる行動もこのカテゴリに含まれます。外部の刺激に注意を向けて、自分の内部の感情から目を背けることで、一時的に心の安定を求める行動が続くことが特徴です。しかし、年齢と共にこの方法が持続しにくくなり、40代以降で心と体の疲れが表面化することが多くなります。
3. 自己破壊の恐怖
抑えてきた感情やトラウマを解放すれば、自制が効かなくなるのではないかという不安が生まれる場合もあります。このため、感情やトラウマをさらに強く抑え込む傾向が見られます。心の中で「痛み」「悲しみ」「怒り」が制御不能になることを恐れ、自分自身を守るために、事実を認めない、他者への責任転嫁、偏った思考といった行動が増えてきます。
アダルトチルドレンと子ども時代の感情
アダルトチルドレンは、しばしば機能不全家族の中で育ちます。この環境では、子どもの感情よりも大人の要求や期待を先に考えることが求められるため、彼らは自らの感情を抑えることを学びます。このような家庭環境では、肉体的あるいは感情的な虐待や無視、そして過度な懲罰が日常的に行われることがあります。
これらの虐待行為は、脳の基本的な部分である脳幹に、強いストレスの源となる影響を与えます。感情の解放や発散の機会が提供されないと、このストレスは脳に永続的に刻まれ、子どもは常に脅威や恐怖を感じるようになります。
特に子どもの世界は家族を中心とした狭いものであり、家族の態度や反応が全てとなります。このため、このような環境で生まれたストレスは、子どもの中で「生き残るため」という強烈なメッセージとして刷り込まれます。
そして、この「生き残るため」の感覚は大人になっても持続し、現実の状況を正しく評価することが難しくなります。結果として、理性や自由意志よりも、恐怖を回避する行動が優先されることが多くなります。

子ども時代の自分への理解と共感
子どもの時、些細な出来事も生死にかかわる大事なことのように感じることがあります。例えば、お気に入りのぬいぐるみが洗濯されてしまうだけで涙が出ることも。しかし、大人になれば多くのことが「当時は大変だったけど、今となっては些細なこと」と感じられるものです。この大人の視点が、自分の過去の経験を受け入れ、セルフリペア(自己修復)を行う上での鍵となります。
重要なのは、子どもの時の出来事そのものではなく、そのときの感情や流されなかった涙を受け入れること。子どもの時に感じた悲しみや怒り、そして欲しかった愛情や安心感を、大人になった今の自分が自分自身に与えることが求められます。
生きるための選択をするのは、子どものあなたではなく、大人としてのあなたです。ですが、過去の感情や涙を受け入れ、解放することで、本当の自分らしさを見つけ、より良い人生を歩む道を開くことができるのです。
